飼育日誌
当館生まれのコイは今
皆さまこんにちは。
1月の半ばから、当館で確認された「コイの掃除行動」についてのミニ企画展示を行っています。
おなじみのコイがまさかの「掃除魚」だった!しかも運よく当館の水槽内で掃除行動を見せてくれて、その内容を論文で公開できたことまで、先日お伝えしました。
論文は、物事を世の中に公表する最も優れた手段の一つではありますが、生き物の「動き」を伝えるのには向かない面があります。主に文章と図表(写真など)で内容が語られるためです。
そこで今回の展示では、論文の元となった掃除行動の動画を、余すことなく上映することにしました。
論文も展示も広い意味で同じ「広報」ですが、それぞれ伝え方とお届け先が違います。
論文と展示で補い合って、相乗効果で「広く」「報せる」になればと願っています。
さて、展示。最初は動画だけでも展示として成り立つなと思っていたのですが、やっぱり生きている魚がいないと寂しいかと思いたち、モニターの隣にコイと、その掃除のお相手となったソウギョを水槽展示することにしました。どちらもかわいい幼魚です。
もしかしたら、ここの幼魚同士でも掃除行動が起こるかも!などと淡い期待を抱きましたが、それはちょっと無理なようでした…。期待して水槽を見て下さる皆さま、申し訳ありません。
併設のモニターの方(こちらが展示のメインになるわけです)では、掃除の様子がばっちりですので、是非、足を止めてご覧頂けたら嬉しいです。
ところで、昨年の春に当館のコイが卵を産んだことをお伝えしましたが、覚えておられますでしょうか?
コイの仔魚(卵から産まれてすぐ。ヒレやウロコが出来上がっていません)
あの時は、大人のコイとは似ても似つかない、寸詰まりのシラスのような姿でした。
食べたプランクトンのオレンジ色が、おなかのところで透けて見えていますね。
これがあの後どうなったのか、お伝えし忘れていました。
実は展示の後も、バックヤードと「湧水と小川のアクアリウム」の一番下側で育てていたのです。
今回、ミニ企画展示に登場させたコイは、その時の幼魚です。生まれて8カ月以上経ち、まだまだ小さいものの、姿かたちは立派に「コイ」しています。
ということで、コイの掃除行動に興味を持っていただいた方も、当館生まれのコイをご覧になりたい方も、是非当館へお越し下さい。お待ちしております。
伊藤