飼育日誌

お知らせ 2024.07.08

ひっそり育成、シロスジコガネとクロカナブン

皆さまこんにちは。
ついに始まりました。特別企画展「生き物超☆能力展」!

遊び心のあるポップな会場に、特殊な能力を持つ生き物たちが大集合しています。
期間は約2ヵ月半。その間にぜひお越し頂けたら幸いです。
張り切ってお待ちしております!

…とは言いつつ、連日のうだるような暑さと、展示作りの夜なべもあり、バテ気味です。
そんな中でも、個々の飼育員は、自身が興味を持ったり、いつか展示に漕ぎつけることを夢見て「ちょっと変わった試み」をバックヤードでしています。
先日の山田飼育員のタイコウチなどが、その代表例と言えます。
私はというと、全く別の昆虫たちをずーっと世話してきました。

一つはシロスジコガネです。
今から約1年前「ワンダフル!!昆虫展」で展示しました。
その時に、卵を産ませて育ててみようかな、とこちらの日誌に書いていました。
飼育日誌20230630 久しぶり!シロスジコガネ

ずーっと続報していませんでしたが、ちゃんと育てていたのです。
こちらをご覧下さい(イモムシが苦手な方は失礼します)。


生まれて1年のシロスジコガネ幼虫

まだ幼虫です。シロスジコガネは2年1化と言って、2回の冬を越えた後に蛹、成虫となる昆虫なのです。
つまり、成虫になるまであと1年かかります。
色々なものをエサに与えてみて、新しい好物(育ちのよいエサ)を見つけることもできました。
詳しくはまだナイショですが、想像以上に色々なものを食べることが分かりました。
てっきり、エサの選り好みが激しくて絶滅危惧種になっているのかと思っていましたが、そうではなさそうです。どこでも生きていけそうなのになぜ?という感じです。
引き続き、飼育下で彼らに必要な環境を調べていこうと思います。

さて、実はもう一種、ひそかに育てていた昆虫がいます。
クロカナブンです
磨いた革靴のごとく漆黒に輝く、シブすぎるコガネムシです。
シロスジコガネから1ヶ月ほど遅れて数匹の成虫を入手し、卵を産ませることができていたのでした。
シロスジコガネがじっくりゆっくり育っているのに対して、クロカナブンはカブトムシ用のマットをものすごい勢いで食べ続け、みるみる育っていきました。
同じコガネムシでもここまで違うのかと興味津々でした。
こちらをご覧ください(イモムシが苦手な方、さらに注意です)。


クロカナブンの幼虫

頭が小さい独特のぼってりフォルム。
しばらく置いておくと前進し始めるのですが、この時に背中を使って(つまり仰向けになって)移動します。
この時のボディのうねる動きがトリハダものでした(実は私、イモムシちょっと苦手です。それでも育ててみたかったのです)。
この動きはハナムグリの仲間の特徴です。
クロカナブンってハナムグリなんだなぁと幼虫を見ていっそう実感できました。


中に蛹がいるっぽい土ダンゴ

春になると、マットの中にころころとしたダンゴが見つかるようになりました。
どうやら中でサナギになっているようです。
そっとしておき、わくわくしながら待つこと数ヶ月。
つい先日、この通りです。


続々羽化するクロカナブンたち


元気いっぱいのクロカナブン

手探りだった育て方は的を射ていたようです。
カナブン繁殖に関する限られた情報を参考に、カブトムシやクワガタよりも水分を少なく保ったのが良かった気がします。
彼らが1年で成虫になる「年1化」であることも確認できました。
冬にケースを置いていた場所が屋外より暖かかったことで、ちょっと羽化が早まった気もします。

今回は展示の予定がなく、皆さまにお見せできないのが残念です。
せめて、こちらの日誌で紹介しようと思い立ちました。

今後は狙って育てることができるようになりましたので、機会がありましたら展示を考えてみたいと思います。
気長にお待ち頂けたら幸いです(待てない方は、夏休みに雑木林へレッツゴー!です)。

伊藤


2024年10月
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