飼育日誌

2023.06.30

久しぶり!シロスジコガネ

皆さまこんにちは。
本日から、特別企画展「ワンダフル!!昆虫展」がスタートしています。
内輪の話で恐縮ですが、特別企画展は、毎回準備が大変なのです。
そんな中、今回の企画を終始取り仕切り、オープンに漕ぎつけてくれた船頭は、最年少の山田飼育員です。
ちょっと前まで学生だったとは思えない円滑なかじ取りで、幸先の良い船出となっています。

と、いつもですとここで一息つけるのですが、今回は昆虫、成虫の寿命が2カ月に満たない種もちらほらいる中で、約2カ月半の長丁場です。引き続き昆虫集めの日々となりそうです。
それが分かっておりながら、大変そうな種をつい、選んでしまいました…。

シロスジコガネ

私が子供の頃から愛してやまないコガネムシです。


ヒゲが立派なオス

本種は海辺を好む、いわゆる海浜性昆虫です。
幼虫がクロマツの根を食べることから、海沿いに砂防林として植えられたクロマツが良いすみかになっているものと思われます。
そして、カブトムシなどと同じく、夜に灯りに誘われて飛んでくる性質があります。
私の家は海の近くにあるのですが、以前は家の明かりにも、シロスジコガネがしょっちゅう飛んできたものです。
それが、ここ最近は全然見なくなりました。
神奈川県のレッドデータで絶滅危惧種に指定されている昆虫ですし、かなり減っている印象です。

さて、今回私は「都会の虫」コーナーに展示する「アオドウガネ」の担当です。
本種も灯りに飛んできます。
それなら、シロスジコガネも一緒に探そうかなと思い、海の近くの「灯りスポット」を見回ることにしました。もっぱら夜、仕事帰りです。
6月の上~中旬は雨も多く、ほとんど何もいない日が続きました。
時期的にも、成虫の出現には早過ぎます。
それは分かっていましたが、6月下旬のオープンまでに採れなかったらどうしようかと内心アセってきていました。
が、6月20日を過ぎたあたりから、ついに様子が変わりました。


矢印のところに注目!

いつも見に行っている街灯の一つ。矢印のところをよく見て下さい。
そこかしこにシロスジコガネが!


手の上を走り回り、飛び立ちます。

一つの灯下でこのとおりです。
もしかしたら出会えないのでは、と思っていたのでうれしさ倍増です。
他の昆虫も、まだ控えめでしたが、いくつか見られ始めていました。


宝石のようなアオドウガネ


お腹はメタリックパープル!美しい!

本来のお目当て「アオドウガネ」。
この仲間は、果樹を食い荒らしたり、幼虫がお花の根っこを食べてしまったりと、やっかいな面も持っています。
私が子供の頃は、もうちょっと地味な色をした「ドウガネブイブイ」が多かった気がします。
どちらも、つかむとよくそそうをするので「フンカナ」という可哀そうなあだ名で呼ばれていました。
それはそれとして、メタリックな体色は、目を奪われる美しさです。
この日は3個体だけ。もちろん、展示用にゲットです。


オオコフキコガネ(上がメスで下がオス)

他には、こんなものも。
オオコフキコガネです。オスとメスがくっ付いていますね。交尾行動です。
一般的に、昆虫が灯りに集まってしまうことは、彼らの生活史を狂わせてしまうなど、マイナスの影響があると言われています。
私もそう思っていますが、こうした場面を見てしまうと、灯りに集まることでオスとメスの出会う確率が自然状態よりも高まるのでは?などと妄想もしてしまいます。
興味深いです。


コガネムシだらけ

ということで、久々の“シロスジフィーバー”に、つい無意識に手が伸びてしまい、気づけばものの10分でムシカゴがこんなコトになっていました。
すぐに冷静さを取り戻して、必要な分だけ選別して連れ帰りました。


ヒゲが小さいメスのシロスジコガネ

シロスジコガネの成虫は寿命が短く、出現時期も限られます。
それが冒頭の「展示が大変そう」の理由となります。

以前、シロスジコガネを孫の代まで繁殖させてみたことがあります。
成虫はマツの若葉を食べることがあるものの、ほとんど何も食べずに交尾、産卵して一生を終える感じでした。野外で捕まえたものも、フンをほとんどしないため、この想像は正しいのではないかと思っています。昆虫の中にはこの「成虫期に繁殖行動だけを行う」タイプが結構います。
卵を産ませるのに成功した後は、海浜の植物を混ぜ込んだ海砂を入れたケースで育てましたが、本種の幼虫期間は2年と長く、付き合うには根気が要りました。餌にマツを用いなかったケースでも、無事成虫にさせることが出来ました。貴重な成果として、当時、ポスターや論文にして公開したのを覚えています。

今回久しぶりに、卵を産ませて育ててみようかと思っています。
オスメスを短期間一緒にして交尾したかな、というタイミングで、メスは産卵用の水槽へ、任務を果たしたオスは展示水槽で余生を…などと考えています。うまくいけば、成虫の時期が終わった後に、かわいい幼虫を育てる機会が得られるかも知れません。

ということで、生きた成虫の展示は短期間になると思いますので、見てみたい方はお早めにどうぞ(…アオドウガネはその後も展示していると思います。)

伊藤


2024年5月
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