飼育日誌

お知らせ 2024.06.12

検証!相模川で潮干狩り②

皆さまこんにちは。
前回お伝えした相模川の潮干狩りの続きです。
ここの河口は、貝がほとんどいないなぁ、というところまでお伝えしましたね。
続編があるということは、そうです!あの後で収穫があったのです。


河口の東側に連なる消波ブロック

以前、イソガニの日誌でちょっと触れましたが、相模川の河口には消波ブロックや積石が設置されており、そのすき間や表面が生き物のすみかになっています。
※飼育日誌2023年2月1日

ブロックの列はそのまま東側へと続いています。柳島海岸と呼ばれているあたりです。
このあたりが河口か?と言われると微妙なのですが、川の水と、近くに放流されている下水処理水の影響を強く受けている汽水域であることは確かです。


海藻が生えている!イイ感じ。

厳重な消波対策から想像される通り、このあたりは波当たりが猛烈に強いことで知られています。
秋はカツオ釣りの陸っぱりスポットとしても知られますが、私は釣りができるような波の日に来られたことがありません。
正直、海になれていない方が遊ぶ場所としては、全く向いていません。
ほとんどの皆さまは、ちょっと離れた所から「いやーすごい波の迫力だねー」と眺めて楽しむのが正解です。
この時は干潮時で、波も「ここにしては」穏やかでしたので、専門家としての判断で水辺に近づきました。
が、それでも2度ほど肩まで波を被ってしまいました。
本当に気を付けて行くべきフィールドです。


イボニシ

岩のすき間を見ていくと、ごつごつとした巻貝がたくさん見つかります。
ほとんどがイボニシ。肉食性の巻貝です。
殻口の写側に黒い斑模様があるのが特徴ですが、次々とはがしてみていくと、この模様がないものもいます。レイシなどの別種の可能性が高いです。


ウノアシ

岩の表面に違和感あり。ひっくり返してみると、これも貝でした。
ウノアシです。
鳥のウの足に形が似ているということでしょう。ネーミングセンス抜群ですね。


ヒザラガイ(左)とキクノハナガイ(右)


ヒメケハダヒザラガイ


コンクリの割れ目にぱっと見、4種類

平たくはり付くタイプの貝は、目がなれてくると次々見つかりました。
カサ状の貝は、ヨメガカサとベッコウガサでした。
活動中の彼らは「油断している」ので、素早く指ではじくと、ズリッとはがすことが出来るのですが、一度失敗するとビッタリくっ付いてびくともしません。
強い波を受けて吹き飛ばされないのも、納得です。


アメフラシの仲間の卵

こんなものも。
「ウミゾウメン」と呼ばれるものです。
アメフラシの仲間の卵です。卵があるってことは、近くに親もいるのでしょう。
アメフラシは大型のウミウシの仲間で、ウミウシは巻貝のグループ、つまり貝です。


アラレタマキビ

「水嫌いな貝」として紹介されがちなタマキビの仲間もごく少数ですが見つかりました。
水が嫌いなわけではなく、たまに濡れるくらいの場所を好みます。
常に水没したところや、全く波がかからない場所にはいないです。

…と、一般的な潮干狩りとはだいぶ様子が違いましたが、相模川の近くにも、探せば意外とたくさんの貝がいることが分かりました。
どの種も江の島や真鶴に行けば、普通に見られるものばかりですが、相模川の近くで見られると新鮮ですし、いる事が分かって勉強になりました。
さて、この調子で相模川の上流側でも貝も調べてみたくなりました。
続報があれば、またお伝えしたいと思います。

伊藤


2024年7月
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