飼育日誌

2022.07.23

カニ日和②

皆さまこんにちは。

先日のつづきです。

河口らしさをひとしきり楽しんだ後は、レアキャラ探しに挑戦です。
石ころの下。河口に限らず、何が潜んでいてもおかしくない定番ポイント。
宝箱を開けるように、持ち上げて見ていきます。


ケフサイソガニです。
地味さここに極まれり。河口や運河といった汽水域でよく見られるカニの一つです。
その名の通り、写真では見えないハサミの表面に、ふさふさした毛が生えています。
この仲間も、ちょっと毛の生え方が違うレアキャラが混ざっていることがありますので、よく観察しないとなりません。チェック、チェックです。


こんなのも。
イソガニです。磯遊びの定番種ですが、川にもいるのです。
出会う場所が違うだけで、不思議な気分。地味すぎるケフサを見まくった後だと特に、本種の緑の模様が際立って美しく感じられます。
さて、このことから分かりますが、イソガニが生きるのに「海水並みの濃い塩水」は必須ではありません。ずっと淡水だとさすがに弱ってしまうでしょうが、ある程度塩気のあるきれいな水であれば、元気に育つのです。
磯遊びで連れ帰った本種をうまく飼えない時の一番の理由は、一緒に持ち帰ったちょっとの海水を「もったいない」と、捨てずに水換えしないことです。水が汚れ過ぎてしまい、カニが参ってしまうのです。海の近くにお住まいでない方は、塩(できれば人工海水の元)を「ちょっとしょっぱいかな?」くらいに加えた水で、ちょこちょこ水換えしながら飼うと良いです。

結局、イソガニ類の中に、めぼしい珍種は見つけられませんでした。

次です。こんな場所もあるのです。

当館近くの川原に似ていますが、ここは河口。潮が満ちると海から水が逆流し、完全に水没します。1日のうち、数時間だけ現れる草原なのです。

はいつくばり、草をかき分け見ていくと、アシハラガニの中に、明らかに動きが素早いカニがいるのに気づきます。何とかつかんで見てみると…。


これはシビれます!
オオユビアカベンケイガニことクシテガニです。
相模川では未確認、相模湾沿いでは三浦半島でしか確認されていないカニです。
前回紹介したフタバカクガニが立体活動メインなのに対して、本種は地表での平面活動がメインです。ワインレッドのハサミが素敵、私の特に好きなカニの一つです。
いろいろな河口に出向くたびに、ヤツを探してしまいます。いそうな環境もだいたい分かってきましたし、そろそろ相模川でも見つけたいなと意気込んでいるところです。


ウモレベンケイガニです。
神奈川県では東京湾側だけ、相模湾側では未発見の地味珍キャラです。
茶色い色は実は泥の汚れで、よく洗うと白い甲らが見えてきます。
ベンケイガニの中では極めて動きが遅いので見つけやすいかと思いきや、いる環境が絶妙で狙って見つけにくいです。きわめて個人的な印象として、捨てられた平たい板切れや紙(段ボールなど)の下で見つかりやすいです。今回の場所はそういった人工的なゴミがほとんどなかったので、クシテを探す中での全くのまぐれでした。

2回にわたり長々とお付き合い頂きありがとうございました。
現時点で当館のカニの展示は多くありませんが、少しずつ紹介できる種をふやしていきたいと思っています。カニ好きの皆さま、気長にお待ちください。

伊藤


2024年2月
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