飼育日誌

2022.07.18

カニ日和①

皆さまこんにちは。

梅雨も明け、ついに夏らしい日々がやってきました。
こちら、夏の特別企画展も無事オープンし、ご好評のもと、ひと安心です。
これは、ちょっくらフィールドでも出てくるか、という気分になります。

私のライフワークに、川の生き物を調べる、というのがあります。
「生き物って何のために生きているのだろう」と考えたときに、皆さまはどう答えますか?

まだまだ勉強中の身なりに、現時点の「これかな?」というのを口にするなら、“分布を広げる”ことだと答えます。

生まれて、食べて、育って、争って、産む、を繰り返す生命の活動は、どれも最終的には「分布を広げる」につながっていると思うのです。

さて私の場合、もう年ですし、あれこれ調べられるほど器用ではないので、大人気の魚や鳥はその道のプロにお任せして、カニや貝に的を絞って調べています。今回はカニです。

旧知の仲である“えのすいの干潟担当”こと大下さんと一緒に、関東地方の某河口(注・相模川ではありません)を訪れました。
この日の予報は雨でしたが、現地に着くとあら不思議、小雨がぱらつくベターな天気です。
人が配置した消波ブロックや石積みの先に、泥の干潟が広がっています。
足元のブロックや石の隙間には、さっそくお目当てのカニがお出迎え。

フタバカクガニです。

私にとっては沖縄のマングローブにいる「木登りガニ」のイメージです。相変わらずの素早さと警戒心で、写真を撮るのも一苦労でしたが、そこがまたイイ!
相模川ゆかりのドラマが持つ種でもあり、2002年に相模川から初記録されてから、個人的に注目してきたカニです。
近いうちに、相模川の一員として展示できたらと狙っています。

泥地に進むと、多数の白っぽいカニが私たちに道を開けるように左右へ走り去っていきます。

アシハラガニです。
相模川では少ないカニなのですが、ここでは珍しくありません。ついモブキャラだとスルーしがちですが、最近しっかり見るようにしています。
よく似た姿のレアキャラが、混じっていることがあるからです。
模様や体形に違和感のある個体は、手に取って観察していきますが、今回ははさまれて終わりました。

泥の表面に無数の穴が開いています。ほぼ全て、カニの巣です。
ザラザラ砂っぽいところにコメツキガニが、泥がべちゃつくところにヤマトオサガニが、ほっくり土っぽいところにチゴガニが分かれて住んでいます。

大下さんと一緒に、展示に必要な分だけ採集します。
近いうちに展示されると思うので、あえて写真はおあずけします。
実物は是非、えのすいでご覧下さい。

まだまだ話題はつきませんが、長くなりそうなので今回はここまで!
続きは近いうちにお伝えします。つづく。

伊藤


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