飼育日誌
タナゴのタ○ゴ♪
皆さん今日は。
夏季特別企画展「水族館BOY ~オススメのいきものたち~」が7月15日から始まりました。
普段見ることの出来ない生き物から、飼育員オススメの生き物などなど、個性豊かな生き物たちを展示しております。
夏休みはぜひ当館へ!
さて、当館に赴任して、半年が過ぎました。
こちらへ来て楽しみにしていたことがあります。
それはミヤコタナゴの飼育です。
ミヤコタナゴは、神奈川県にも生息していたのですが、既に野生絶滅をしてしまいました。
このタナゴは、その希少性から国の天然記念物にも指定されており、一般で飼育することは出来ないのです。
これまで、色々なタナゴの飼育・繁殖に携わってきましたが、このミヤコタナゴは触ったことがありませんでした。
そしてついに・・・、飼育員冥利につきますね。
ちなみに、タナゴの種類によって、卵の形がことなるのですが、ミヤコタナゴではどうなのか個人的に気になっていました。
他のタナゴの卵をご紹介します。
アブラボテ
受精後5時間経った卵は
イチモンジタナゴ
受精後5時間経った卵
スイゲンゼニタナゴ
受精後5時間経った卵
外国産ではありますが、チョウセンアブラボテ
受精後5時間経った卵
どうでしょうか、タナゴの卵と言っても形も大きさも様々なのです。
では、ミヤコタナゴではどうかと言いますと、
授精直後の卵
卵としては思ったより小振りで、アブラボテの卵に近い、鶏卵のような形をしています。
受精後24時間経った卵
どうでしょうかよく見てみると、卵の中で発生が進んでいる様子が見えます。
そして受精後31時間経ったころには、
ついに孵化しました!
なんと眼も口もない、のっぺらぼうです。
タナゴは本来、イシガイなどの淡水棲の二枚貝の中に卵を産み付けますので、その様子は観察出来ません。
しかし水族館では、人工授精をしているのでこのように孵化する様子を観察出来るのです。
タナゴの孵化仔魚は、他の魚と異なり、かなり未分化な状態で孵化するため、眼も口もないのです。
これは二枚貝に産み付けられたあと、貝に守られながら発生が進んでいくためで、孵化した後で眼や口が形成されてきます。
ちょっと熱く長く語りすぎてしまいました。
長々とお付き合い頂き、ありがとうございます。
この続きは、また機会がありましたら書きたいと思います。
是非とも素晴らしい生き物であるミヤコタナゴを、見に来て下さいね!
波多野