調査・研究

2023.06.22

イシガイの新宿主に関する実験成果が論文掲載

 イシガイは、東日本(ベトナム北部~ロシア東部)に広く分布するイシガイ目の淡水二枚貝(イシガイ類)の一種で、日本では主に西日本に自然分布しています。この仲間は、グロキディウム幼生と呼ばれる赤ちゃん時代に、魚などの体に寄生して育つ性質があります。貝の種類によって、赤ちゃんが寄生し続けて育つことができる相手がある程度決まっています。そのような寄生相手を「宿主」と呼びます。
 この性質から、貝がいる水域において、その赤ちゃんと相性の良い宿主が一緒にすんでいないと、うまく子孫を残せません。それが全国的な貝の減少の原因の一つだと考えられています。
 相模川ふれあい科学館では、北里大学をはじめとする生き物の研究者と協力して、イシガイ類の生態解明をすすめています。このたび、イシガイの赤ちゃんを様々な「宿主候補」に寄生させてみて、その相性を確かめる飼育実験を行ったところ、これまでに報告のなかった2種類の宿主を見つけることができました。その成果が、日本貝類学会が刊行する学術雑誌「Venus」に掲載されました。

掲載誌 Venus No.81 2023年6月発行
題名 Two Further Host Species, Gymnogobius urotaenia and Poecilia reticulata, for Glochidia of the Freshwater Unionid Mussel Nodularia douglasiae in Experimental Tanks
著者 伊藤 寿茂(相模川ふれあい科学館)、團 重樹(東京海洋大学海洋生物資源学部門)、柿野 亘(北里大学獣医学部)


イシガイのグロキディウム幼生

 新たに見つかった宿主の1つ目は、ウキゴリというハゼの仲間です。相模川にも生息する魚で、水郷田名のまわりでドブガイの仲間に宿主として利用されていることが分かっています。2つ目は南米原産の熱帯魚として有名なグッピーです。日本では、暖かい地域や、温泉などの影響で冬でも水が冷たくなり過ぎない場所でふえている国外移入種として知られています。沖縄県の石垣島では、ドブガイモドキの宿主として利用されていることが分かっています。
 今回の研究によって、イシガイにとっても、これらの2魚種が宿主として機能しうることが分かりました。ただし今の段階では、自然下での状況が不明です。今後は川や池の中で、イシガイの赤ちゃんとこれらの魚が出会っているかどうかを確かめる必要があると言えます。これからも大学や他の博物館と協力して、イシガイ類を研究していきたいと考えています。

伊藤


2024年6月
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