飼育日誌
寝ても覚めてもゲンゴロウ part 6
こんにちは。
前回(part5)のつづきです。
前回はシマゲンゴロウの2齢幼虫の話までさせていただきました。
今回は3齢幼虫からです。
早速ですが、シマゲンゴロウの3齢幼虫をごらんください。
2齢幼虫と似ていますが、大きさはひとまわり大きくなり、成虫の体長をゆうに超えるほどです。頼りなく見えた幼虫も、ここまでくれば急に強そうに見えます。
私はシマゲンゴロウの幼虫の、丸っこい頭と丸く湾曲したアゴがとてもお気に入りです。かわいいとかっこいいが同居しています。成虫になるとかわいいが勝ってしまうので、3齢幼虫が最もかっこよさを感じられるタイミングだと思っています。
ところで、3齢幼虫と2齢幼虫の写真を見比べてみて何か違う所に気が付きませんか?
実は、飼育容器が変わっているのです!
2齢幼虫は、1枚目の写真のような小さなタッパーで飼育していました。ところが3齢幼虫になりますと、なにやら角ばったクリアな容器に…これはどういうことでしょう?
では、3齢幼虫の飼育容器の全体像を見ていただきましょう。
なんと二部屋構造のクリアケースになっています!さらに、片方には水が張ってありますが、もう片方には土が入っています。なんだか変なかんじですね。
なぜこんな構造をしているのか…それはズバリ、勝手にサナギになってもらうためなのです!
もう少し詳しく説明しますと、ずーーーーーーっとさかのぼり、寝ても覚めてもゲンゴロウpart1で、ゲンゴロウがサナギになる時に、陸に上がり土の中でサナギになることをご紹介したのは覚えておりますでしょうか。そして、当館で飼育していたゲンゴロウ幼虫は全て無事にサナギになっている、ということもお伝えしておりました。ところが、どうやってサナギになってもらったのかはご紹介していなかったのです。タッパーに水を張って飼育するだけでは、陸地がないので幼虫はサナギになれませんよね。
ではどうしたのかといいますと、「サナギになりそうな幼虫を掬いあげて、土を詰めた容器に入れる。」という、とっても人力な手法でおこなっていたのです!こういう手法を「強制上陸」と呼んでいます。
写真はゲンゴロウの幼虫を強制上陸させた後の様子です。幼虫がもぐって土がこんもりしています。
ゲンゴロウ(ナミゲンゴロウ)は、当館ではすべてこの手法でサナギにし成虫にしていますので実績のある手法です。管理がしやすいというのもミソです。
ところが、この手法には欠点があります。それは、慣れていないと上陸しそうな幼虫を見分けるのが難しいこと、そしてシマゲンゴロウの幼虫はさらに見分けるのが難しいということです!!ちなみにこれはシマゲンゴロウに限らず、小さめのゲンゴロウはみんな難しいんですよ。
ですので、今回シマゲンゴロウの幼虫をサナギにさせるためには、見分けるのに慣れていない人でも上陸させてあげられる工夫が必要だと考えまして、これを先輩に相談しました。すると、この飼育ケースの形をご提案いただいたのです。
ひとめでこれは良いっ!!と思うような素晴らしいご提案でした。
この飼育ケースの素晴らしい点は、①勝手に上陸できる②土と水が混じらない➂コンパクト、なところです。なにより②と➂がとてもよく、幼虫飼育のしやすさや機能性を兼ね備えていました。
直感したとおりこの飼育ケースは大成功で、見事に幼虫たちは勝手に上陸してサナギになってくれました。シマゲンゴロウ飼育の難所のひとつ、上陸を無事クリアしたのでした。
さて、大変長くなってしまいましたが、今回はここで終わりたいと思います。
次回はサナギになる様子をご紹介しますので、ぜひお楽しみに!
山田