飼育日誌
回遊魚水槽の厄介もの
みなさんこんにちは。
2年目に突入しましたがまだまだひよっこ飼育員の狩俣です。
先日、回遊魚水槽に若いサクラマスたちを搬入するため、元からいた古参のサクラマスたちをお引越しさせました。引っ越し先は流れのアクアリウムの上流水槽です。
ところが引っ越しにあたり、一つ問題がありました。
サクラマスの体表をよく見るとくっついている…
冷水性淡水魚に寄生する甲殻類で、その名を『チョウモドキ』といいます。
このチョウモドキはマス類などの冷水性の淡水魚の体表にくっつき、宿主の魚に毒液を注入して体液を吸ってしまう、ちょっと厄介な存在です。
顕微鏡で見るとこんな感じ。
特徴的な二つの円は吸盤状の第2小顎で、これとかぎ爪上の第1触覚を用いて宿主の魚に寄生します。
サクラマスたちを観察していると特に痒そうにしたり引きはがそうとしたりする様子はありません。一方で、一緒に展示しているマルタというウグイの仲間は、チョウモドキがついた際とても嫌がって体を砂利に擦ったり鰭で振り払ったりしていました。サクラマスはなかなか図太いところがあるようです。
とはいえ、引っ越し先にこの厄介者を連れ込ませるわけにはいきません。ということで、水槽から取り上げた際に体表のチョウモドキを引っぺがしてから引っ越します。
水位を下げた水槽からサクラマスを掬いあげては、パスして、チョウモドキをはがして、ダッシュで運搬。ひたすらこれの繰り返しです。
当初は順調に進むか少し心配もありましたが、引越しは無事に完了しました。
引っ越し先での古参サクラマスたちも落ち着いており、とりあえず一安心です。
ところで、チョウモドキをうまく取り除く方法がないか調べていた際、「黒や赤の板に好んで卵を産み付ける」という記述を見つけました。ほんとかなとやや疑いつつ、回遊魚水槽の黒くツルツルした面を掃除していると、ヌルっザラっとしているなにかが指先に触れました。
まさか…と思って顕微鏡で見てみると、
予想的中!どうやらチョウモドキはしっかり黒い板のような場所に産卵していたようなのです。ちなみに卵の近くで赤ちゃんチョウモドキも見つけました。そりゃいつまでも減らないわけですね。
チョウモドキを減らすには、水槽内にあるこの卵をいかに減らすかが鍵になりそうです。
少しだけチョウモドキを減らす筋道が見えた気がするので、今後の課題としたいと思います。