飼育日誌
いろいろ新しくなりました
皆さまこんにちは。
1月27日は休館日でした。
休館日の私たちは、朝からめいっぱい時間を使い、普段はできない大きな作業をすることが多いです。
この日は特に、前もって予定していた作業が目白押しでした。
まず、展示更新。
当館では特別企画展だけでなく、常設展示も1~3ヶ月に1回程度の頻度で内容をがらっと変更したり、新しい生物やレイアウトを追加したりします。
1年に何度来て頂いても新しい展示を見せたい、という前館長の時代から続く方針を継承しています。
本日更新したのは、以下の3カ所。
① マンスリー水槽
干支の展示から、節分の展示になりました。
生き物は世界最小のフグ「アベニーパファー」。
福(ふぐ)がある、豆のように小さい魚、ということで、節分にぴったりです。
工作上手の担当者による、神社の豆まき会場を彷彿とさせるレイアウトとともに記念撮影なんて、いかがですか?
② 小川の実験観察テーブル
カニの展示から、淡水魚(カマツカとボウズハゼ)の展示になりました。
両種に共通するのは「口の使い方が変わっている」というところ。
どちらも既に展示している常連種なのですが、ここでは特に、両種の口に注目して観察頂きたいのです。
当館で唯一、椅子に座って肘をつき、じっくりと観察できるスペースとなっています。
ちなみに、それまで展示していたサワガニは、なんと!両生類水槽のカジカガエルスペースに移動です。
カニとカエルの混育!あまり例のない試みです。
しかし、自然下では湧き水したたる断崖に両種がいることはよくあります。
あとは、皆さまに見える場所にたたずんで欲しい…と願いながら、調整していきたいです。
③ 海の生き物水槽
ハコフグ類の展示から、より強い毒を持つ危険生物(ゴンズイ、キタマクラ、ラッパウニ、スベスベマンジュウガニ)の展示になりました。
どの種も扱いを間違えれば、人の命に関わるほどの猛毒を持ちます。
そんな生物を安全に、間近でご覧頂けます。
私がヤバさを“実感”したことがあるのはゴンズイ。それも2回。
1回目は大学時代、サークル活動中に先輩が食べようとさばいていて毒棘(背びれと胸びれにあります)を指に刺してしまいました。その後、先輩は終始ぐったり。体力の有り余る大学生男子のガッツを根こそぎ奪うすさまじさに恐怖を覚えました。
2回目は以前に別の水族館に勤務していた時で、先輩が潜水中に刺されてしまいました。この先輩もガッツで何とかしようとコソコソ耐えていたのですが、頭痛と吐き気にも見舞われ、ギブアップ。病院行きとなってしまったのでした。患部の痛みだけでなく、内臓にまでダメージが来るところがヤバすぎます。
…こんな現場を見ていますから、私は絶対に刺されたくない!と思いながら過ごしています。
ちなみに食べようとした気持ちも分かります。実は苦しむ先輩を横目に、調理されたゴンズイを頂いたのですが、とても柔らかい白身ですこぶる美味でした。調理方法を工夫すれば、ウナギの代用にすらなるのでは?と思ったほどです。
つい長くなりました。
他にも、更新とまではいきませんが、大きな作業がありました。
④ 水上散歩水槽
水上のガラス保護フィルムと、カーペットを新しくしました。
皆さまに踏んで歩いて頂く展示なので、どうしても定期的なメンテナンスが必要になります。
この水槽はオーダーメイドのためか、各部の寸法が左右対称にならず微妙にずれています。なので、採寸作業は大変です。プロの大工さんにお願いしました。
見ていると、現場で都度都度寸法合わせしながらの手作業となっており、今日一番時間のかかった作業となりました。大工さんたち、遅くまで本当にありがとうございました。
おかげさまで、雰囲気もガラッと変わり、イイ感じに生まれ変わりました。
展示の魚の方も、近いうちに新しいことを試そうとしています。ご期待下さい。
⑤ 湧水と小川のアクアリウム
大勢のお客様が「お魚にごはん」体験をされる、当館一押しのふれあい体験展示です。
そのため、どうしてもペンキがはがれてしまいます。
私を含む飼育員3名で塗りなおしました。
腰痛持ちには堪える寒空の下での作業でしたが、見違えるほど美しくなった展示を見て、気のせいか腰痛も和らいだ?気がします。
以上が今回の成果です。
実は先週の休館日も、3カ所の展示を更新しています。
ミニ企画展示、ミニトーク水槽、タナゴ水槽(県外分布種の展示)、です。
ミニ企画展示
それらを合わせると、実に10カ所近い展示が年始早々に新しくなったことになります。
昨年いらっしゃった皆さまも、是非また足を運んでいただき、新しくなった展示をお楽しみ頂けたら嬉しいです。
伊藤