飼育日誌

お知らせ 2025.01.15

登頂成功!

皆さまこんにちは。
寒いですね。超冷え性で腰痛持ちの私には堪えます…。
そんな時は南国の水槽を見て気分だけでも暖かく、こちらをご覧下さい。


水の出口にエビが1匹

こちら「渓流展~川がはじまるところ~」にいるオニヌマエビです。
循環の水が噴き出すところに頭を向けていますね。
「ああ、水が出てくるところが好きなのかな?」くらいに思うかもしれませんが、問題はこの場所です。


横から見ると…

このとおり、水面より上にいます。
昨年大みそかの日誌で、エビが滝を遡る様子をご紹介しましたね。
飼育日誌 2024.12.31 エビの渓流“滝”登り
あれから観察すること2週間。結構ひんぱんに水上の滝部分へと登っています。
さて、これで驚くのはまだ早いのです。
お伝えしたいのは、このエビがいる高さです。
こちらをご覧ください。


滝の一番上へ到達(矢印のところにエビ)

なんと、滝の一番上まで登っていたのでした。
水面からの距離は約20cm。途中にはオーバーハングもあり、上からはザブザブと水が注いでいます。ボルダリング選手もびっくりです。
決して「やらせ」ではありません。
仮につかんで置いたとしても、すぐに流されてしまうか、自分から降りてしまうでしょう。
このシーンも実は2回目で撮影できました。
1回目は、カメラを水槽にあてがう時に驚かせてしまい、するすると降りてしまったのでした。

ほとんどの「川エビ」が、卵からふ化後の数週間を海や河口でプランクトンとして過ごします。
少し育って水底生活に移った彼らは、川底に沿って海水が遡上する「塩水くさび」をエスカレーターとして利用しながら、下流域まで登ってきます。
そこからはもう、自力で登っていくしかありません。
彼らの泳ぎでは、川の上、中流域の流れに逆らって進むことは難しいはずです。
よって、ひたすら歩きです。
流れに逆らい、岩をよじ登り、垂直に切り立つ人工の堰をも乗り越えます。
そうまでして、なぜエビたちは上流を目指すのか、聞いてみたくなります。
「エビの通し回遊」という知識では分かっていることでも、飼育下で目の当たりにすると、改めてその遡上能力の高さに驚かされます。


渓流展のエビ水槽

ということで、繰り返しになりますが、渓流展会場にお越しの際は、エビの水槽をちらっとのぞき込んでみて下さい。運が良ければ、登っている最中のエビを観察できるかもしれません。

オニヌマエビは沖縄の生き物として紹介していますが、実は本州の川でも見つかるようになっています。神奈川県のまわりでは、伊豆半島や三浦半島のいくつかの川で生息が確認されています。相模川にも、もしかしたら近いうちに“登ってくる”かも知れません。

伊藤


2025年3月
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