飼育日誌
ただいま貝展開催中② エスカルゴ
皆さまこんにちは。
「貝展~みんな知ってるカイ?~」開催中です。
開始後も少しずつバージョンアップ中であります。
手前味噌で恐縮ですが、今回の特別企画展では「日本でここだけ!」的なスゴイ貝をいくつか展示することがかないました。
その筆頭はエスカルゴ。
そう、食べられるカタツムリでおなじみ、あのエスカルゴです。
おそらく数あるカタツムリの中で世界一有名なものでしょう。
でも皆さま、生きているエスカルゴの本物って、生で見たことありますか?
何を隠そう、私も今回が初めてです。
展示がかなったのは「ブルゴーニュ」「ポマティア」などの呼び名を持つHelix pomatiaという種類です。リンゴマイマイという和名も与えられています(あまり一般的ではないようですが…)。
ヨーロッパに広く分布する現地最大級のカタツムリであり、石灰質を多く含むふんわりとした土がある森やその近くにすんでいます。こうした生息環境が少なくなって、生息状況が悪化しており、国によっては食用の採集が制限されています。
人工繁殖も簡単ではないために今では高級食材になっており、現地でも食卓にあがることは珍しくなったそうです。
今回、縁あって日本でエスカルゴ(ポマティア)の繁殖を手掛ける東京牧場さんから、繁殖個体をお借りすることができました。
「展示OK」のお返事を頂いたのは2ヶ月前。
夢みたい、と思いながら、そわそわ、ドキドキと過ごしておりました。
大型マイマイ類の標本展示。
テーブル上には自作したエスカルゴ料理のサンプルが(どうやって作ったかはヒミツです)
万が一に備えてエスカルゴの食品サンプル作りやら、世界中の大型カタツムリの標本収集やらに精を出してしまいました(せっかくなのでこれも展示しています)。
そして展示開始の数日前、ついに生きたエスカルゴ(ポマティア)とご対面です。
第一印象は「黒くてボリューム感たっぷり」でした。
「水分を与えると動き出しますよ」とのことで、お休み中のところに水をかけてみると、このとおり。
成体は肉の部分が幅広くて、なるほど、可食部位が多いな、と思いました。
恐る恐る手にのせると、水分がすごくてビショビショです。時期によってかなり乾燥する地域にすんでいるので、体内に蓄えている水分が多いのでしょう。
動きはとてもゆっくりしていますが「すき間を察知して上手に脱走しますよ」とのことなので、蓋を2重構造にしました(加湿にも効果ありとのこと)。
その他の飼育のコツなども東京牧場の飼育員さんから直接お聞きすることもできたうえ、なんと生まれたての赤ちゃんもお借りすることができました。
こちらは「呼吸は出来るけど脱走できない」ビンに入れて、親と一緒に展示しています。
少し調べてみましたが、今、日本中で生きたエスカルゴを展示しているのは当館だけです。
まさにユニーク、唯一無二の展示と言えます(もし、ウチも展示しているよ!というところがございましたらご一報を!)。
エスカルゴたちはいつも活動しているわけではないのですが、展示をご覧頂ければ、展示内のぬらぬらとした這い跡や、食事の跡から「確かにこの中で生きている」ことを感じて頂けると思います。
私がいる日は、覚醒させたエスカルゴたちをご覧頂ける機会も設けます。水、木曜日のポイントガイドが狙い目です(絶対ではありませんのでご了承下さい)。
さて、今回の特別展では、カタツムリをはじめとする陸貝を他にもいろいろ展示しています。それぞれ魅力たっぷりですので、後日改めてご紹介します。
さらに、当館の売店にはこんなものも。
巨大ぬいぐるみ(Wild Graphy カタツムリ)です。
種類は商品名にありませんでしたが、結構リアルな模様や色はエスカルゴっぽい気がします。
これがあれば、家でいつでもエスカルゴと一緒?
私も欲しい…!買おうかな…。
伊藤