飼育日誌
秋の鳴く虫~すずむし~
こんにちは。
今年の中秋の名月は天気が良かったおかげで、とても綺麗に見えましたね。
さて、9月といえばお月見ですが、秋の風情を感じさせてくれるのはそれだけではありません。きれいな音で鳴く虫たちも、秋を引き立たせるピースのひとつです。
今回の9月のマンスリー水槽はそんな秋の鳴く虫たちをテーマとして、スズムシをご紹介しております。
スズムシはバッタの仲間で、深いやぶの中などにすんでいます。鳴き声はリーンリリーン…というようなきれいな音で、秋の鳴く虫の代表的な種です。
有名な虫ですが、実際に野外で鳴いている姿はあまり見かけません。私も外を歩いているときに鳴き声が聞こえてきても、その姿はなかなか見つけられません。
余談ですが、私は以前カンタンという鳴く虫を捕まえに行ったことがあるのですが、鳴き声が聞こえるのに全然どこにいるかわからず、自身の発見能力不足を実感したことがありました…
鳴く虫も鳴くときは、敵からは見つかりにくく仲間には見つかりやすく、と工夫しているのかもしれませんね。
なんにせよ、鳴く姿を見るのは運とスキルが必要そうです。
ところで、虫が出す音をよく“鳴き声”と表現しますが、実際には声ではなく、翅(はね)をこすりあわせて音を出しています。それ以外にも脚や腹部こすりあわせたり、気門という穴から空気を出して音を鳴らしたり(これは声に近いですね)と、虫の鳴き方はさまざまです。
スズムシの場合は、翅を大きく立ててこすりあわせることで音を出します。立てた翅は正面から見るとハート形をしていて、鳴いているのがとてもわかりやすくなっています。
当マンスリー水槽では、月とススキ、縁側と障子、縁側には虫かごがあり、秋の風情フルセットでスズムシを展示しています。野外では観察しづらい鳴く姿を、ぜひこの機会に観察してみてはいかがでしょうか。
皆様のご来館を心よりお待ちしております。
【最後に】実は最初の写真の月は、本当の月ではなくマンスリー水槽の照明として使用しているニセモノの月の写真です。私は見事にだまされました。皆様は気づきましたか?
山田