飼育日誌
フナムシの不思議
皆さまこんにちは。
開催中の「とぶ!生き物展」、おかげさまで大変好評です。
前回はおすすめ展示として、とぶ植物を紹介しました。
今回はマニアック路線!展示の中でひときわ異彩を放つ、フナムシについて語ります。
展示準備中のとある日のこと。
「へぇーフナムシってジャンプするんですねぇ」と私。
「何言ってんです!伊藤さんが自分で書いてるでしょ」と西田飼育員。
えっ?どれどれ…確かに!
これには愕然。若かりし日の私は腰痛も軽く、しょっちゅう海に行ってましたからね。
自らの目でフナムシのジャンプを見ていたようです。
これを見ても当時のことが思い出せません。自分大丈夫かな?と心配になります。
この15年、思い出がはじけ飛ぶほどに考えることが多かったのかな、と前向きにとらえることにしました。
それに、多くの人が気にも留めない「小さな生き物のちょっとした動き」にわくわくしているところは、我ながら変わってないなと思いました。
そんなわけで今回の展示は、私がフナムシのジャンプを見たであろう江の島の南の磯を意識してセットしてみました。
水槽を彩る背景も、水槽内の雰囲気も、そこの再現です。
以前に展示した時よりも、わらわらとイイ感じにお見せできていると思います。
腐ったものでも食べるイメージがあるフナムシですが、実はキレイな環境を好みます。
きちんとお世話を続けて、いい状態でお見せしたいと思っています。
ただ、今回はフナムシがジャンプするところまでは再現出来ていません。
おそらくは、敵(追いかける私)からお得意の俊足で走って逃げて、それでもダメだ、となった時の「奥の手」なのでしょう。
一緒にいれたイワトビベンケイガニがちょっかいを出してフナムシがぴょん、という可能性もわずかに期待しましたが、それもなさそうです。難しいですね(カニがフナムシをばんばん襲ったらどうしようと心配しましたので、それがなかっただけでもよしとします)。
ちなみにフナムシは低塩分にも適応していて、相模川の河口域でもたくさん見ることが出来ます。
れっきとした相模川の一員なのです。
フナムシのような身近な生き物にも、あまり知られていないだけで、彼らが当たり前に持っている能力や生態があるわけです。
こうした生き物を調べていけば、もっと不思議なことが分かるかも知れません。
かわいい小鳥やモモンガを見て、植物のタネを飛ばして楽しんだあとは、恐る恐る?フナムシをご覧頂けたら幸いです。
伊藤