飼育日誌

2024.03.03

実習生体験談⑧ ~熊坂さんの場合~

皆さまこんにちは。
飼育員の伊藤です。
今回の実習生さんは、はるばる静岡県から、当館まで職場体験しに来ています。
現在大学3年生ということで、これから本格的に卒業研究が始まるとのこと。
せっかくなので、現時点で特に興味があるというサクラマスの回遊について語ってもらいました。
それでは熊坂さん、どうぞ!



初めまして、実習生の熊坂です。
先日からここ相模川ふれあい科学館で実習をさせていただいております。

今回は、こちらの回遊魚水槽で泳いでいる、「サクラマス」について、書かせていただきます。
まずは下の写真をご覧ください。

とてもきれいな銀色の体をもっていますね。このように美しい体をもつサクラマスですが、実は大人になるまでに、時間をかけた長い旅を経験するのです。

突然ですが、皆様が今までで行ったことのある「一番遠かった場所」を思い浮かべてみてください。
いろんな場所があると思います。
もしかしたら海外に行ったことがある方もいらっしゃるかもしれません。
実はサクラマス、1~2歳の幼魚時代に、生まれた川を離れ、遠くの海へ旅立ちます。ある研究によると、東北地方のサクラマスが生まれた川を降りて、はるばるオホーツク海まで北上していくといいます。インターネット地図の距離計測機能で調べてみると、なんと700km以上ありました。
私たちが遠くに行くときには、車や電車、飛行機などを使うことが多いと思います。
ですが、サクラマスは乗り物を使えないので、自分の力で泳ぐしかないのです。
私が子どもの頃はせいぜい50mを泳ぐのがやっとだったので、そんなにも長い距離を泳ぐなんて、とても想像できません。
さらに驚くことに、海に降りたサクラマスは北の海で1年ほど成長し、大人になる頃にまた生まれ育った川に帰って来ると言うのです。つまり、700kmを超える距離をまた泳いで戻るということです。想像するだけで気が遠くなります。

さて、海に降りるサクラマスですが、住む環境が川から海に変わるということは、サクラマスにとってはかなり大きなイベントです。
川と海で何が一番違うのか。真っ先に浮かぶのは塩の濃さです。
川の水は淡水、海の水は海水(塩水)です。
サクラマスは塩辛い海水の中でも健康でいられるように、体内の機能を調整することができるのです。その時に、体の外にも現れる変化として、体の模様が消えて銀色になる「銀化」や「スモルト化」が起こります。

ここまで、海に降りるサクラマスについて書いてきましたが、サクラマスの中には、ずっと川に残るものもいて、こんな姿をしています。

実はこの魚、当館の「流れのアクアリウム」の上流域でご覧いただくことができます。
「ヤマメ」です。
種類は同じサクラマスですが、こんなにも姿が違います。
川で生まれ海に降りるのが「サクラマス」、川で生まれ川で育ちずっと川に住み続けるのが「ヤマメ」と呼び分けられています。


当館の「回遊魚水槽」


サクラマスの回遊について解説しています。

ご存知の方もいるかもしれませんが、当館の近くを流れる相模川でみられるサクラマスは、現在ほぼ全てが「ヤマメ」です。

大変長くなりましたが、今回は私が大好きなサクラマスの生活について書かせていただきました。ぜひ、当館にお越しの際は、サクラマスとヤマメをご覧ください。最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。



熊坂さん、ありがとうございました。
生き物の移動って興味深いですね。
私(伊藤)などは、生き物に共通する目的こそ「移動」なのではないかと考えてしまうほどです。
大学に戻ってからもぜひ、生き物について楽しく学んで欲しいなと思いました。

伊藤


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