飼育日誌

2023.09.15

ガサガサする川!現地レポート

皆さまこんにちは。
10月21日に当館初の館外イベント「親子でガサガサ川の生き物さがし!」を開催することになりました。

場所も道具も内容も、当館で初めての試みです。
「どんな生き物と会えるだろうか」というドキドキと、「安全に楽しんで頂けるだろうか」というドキドキの両方が胸中にあります。
私たち飼育員は川でのガサガサ(網による水中の生き物を採集)になれていますが、自分でするのと、皆さまにして頂くのでは勝手が違うはずだからです。
ということで、見知った場所ではありますが、念には念を入れようかと、現地の確認に行ってまいりました。

場所は引地川の下流域。「引地川親水公園」から近い河川敷です。
ズバリ、結論から言えば、やや上級者向けだと言えます。
川は初めて、網も初めて、という方には「ぜんぜん簡単だからお気軽に」とは言えません。
過去に実施してきた相模川での釣り体験にも同じことが言えますが、水中に足を踏み入れて頂く分、より用心深さが必要です。
とはいえ、そうした方々には、水に入らずに、私たちが現地で採集した生き物を間近で見て触って頂いたり、安全に整備された公園部分でお楽しみ頂くこともできます。全く何も楽しめないということではありませんので、ご安心下さい。

いきなりおどかしてしまいまして失礼しました。
では、実際のフィールドレポートに入ります。


川への入口


川への道?

「引地川親水公園」の駐車場から川に沿って100~300mほど歩くと、鉄柵と護岸が途切れ、自然のままの草地を通って川に降りることが出来ます。
今はクズ(大型のマメ科植物)の成長真っ盛り。これは…降りられるのか?と思いきや、誰かが切り開いてくれた道がありました。ありがたいです。


川の様子


岸辺。浅くてガサガサしやすそう?

川に降りると、私にとって見慣れた風景が広がります。
一部に河川敷も広がり、子供たちが水切りをして遊んでいます。
岸には草が垂れ下がり、魚が潜んでいそうなワクワク感があります。
が…。


岸から3mでこの深さ!これは要注意です!!

岸からちょっと流心に進むと、すこんと深くなります。
しかも、滑りやすい粘土質がむき出しの部分がちらほら。腰痛持ちの私にとっても要注意な水底です。
踏み込み過ぎたら大変です。私たちできっちり見守らねばと気が引き締まりました。

今日は私一人なので、ちょっとだけ岸をガサガサしてみました。
成果はこんな感じです。


スミウキゴリ

第一背ビレに黒点模様なし!スミウキゴリです。大小の個体が見られました。
大きな口がかっこいいです。現在展示していないので、いつかお見せしたいと思いました。


カワムツっぽい…

コイ科の幼魚。どうやらカワムツの仲間に見えます。
国内移入種で、水郷田名のまわりにはもうたくさんいます。
ここは県内ではカワムツが少ない川だったのですが、ついにという感じです。
大きなコイやオイカワに加え、海からのぼってきたボラが見られることもあり、のどかな中流域に見えながらもここが下流域であることを実感できます。


モクズガニの幼ガニ

かわいいサイズのモクズガニです。引地川の下流域はガッチリ護岸されているためか、ベンケイガニの仲間は本当に海の近くにしか見られません。カニ好きにはさびしい川なのです。


ミナミテナガエビ


の幼エビ。ヌマエビではありません。

ミナミテナガエビです。相模川でも激増している南方系の大型エビで、こちらは移入種ではありません。小さなエビもちらほら見られましたが、その大部分はヌマエビやスジエビではなく、本種の幼エビでした。


今日の成果

ほんの30分程度でこんな感じ。本番もこの調子なら、皆さまに十分な種類の生き物をご紹介できそうです。


河川敷の水たまり

次に、皆さまに安全にガサガサしてもらえるポイントがないか探してみました。
川から切り離された水たまりがあり、エビや小魚が取り残されています。
川の水位や天候によってはなくなる可能性もあるので、これはもう、運です。
当日も、安全なポイントが出来ていることを祈ります。

さて、ここからは心配性な私の取り越し苦労ならよいのですが、天気良し!で皆さまに来て頂いて、いざ川が荒れていた場合です。
皆さまにとんぼ返りをお願いするわけにもいきません。
実は、そんな時の想定もしています。
川の両岸には水辺が造成され、遊歩道が整備されているのです。
ガサガサは出来ませんが、秋の虫と戯れながら、自然の中を散策できるのです。


左岸(川の東側)の人工水辺


メダカ研究中の看板

左岸側に造成された水辺では、神奈川県在来のメダカを野生復帰させるための研究が行われています。私たちも何度か調査に加わっています。外来種に手を焼いており、それらの駆除をしながら、メダカがすみやすい環境を模索中です。
ちなみに今、水面をのぞき込んだら、泥煙をあげながら大量のウシガエルおたまが…。そういった問題点を語りながら、メダカの未来を考えて頂く日にするのもアリですね?


右岸(川の西側)の湿地の遊歩道


右岸(川の西側)の遊具

右岸側には半自然のヨシ原になっている湿地に、遊歩道が整備されています。
今はイナゴがたくさんはねています。イベント当日はコオロギの鳴き声に包まれているでしょうか。
その他に、小規模な遊具や、運動場も整備されています。
昔は小さかった息子たちを連れて、ちょくちょく散歩に来てたなぁ…。

この場所は、都市化の進んだ神奈川県南部に残された稀有なフィールドでもあります。外来種などの課題はありつつも、人のくらしの中心に「公園」というかたちをとることで、長期間にわたり堅実に自然を維持できる可能性を感じさせます。ということで、状況によってはガサガサが十分に行えない可能性もありますが、周りの自然をたっぷりご案内しますので、どうぞご検討材料として頂けたら幸いです。

伊藤


2024年3月
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