飼育日誌

2023.05.30

ミドリガメとれた

皆さまこんにちは。
昨日は朝から館を離れて、フィールド調査に参加しました。
住宅地の中にある公園の池に網を入れ、何の生き物がすんでいるか調べるのが目的です。
小雨がぱらつく中でしたが、思いを同じくする方々と、楽しく調査ができました。


お楽し…調査中の私

詳しい結果はまとめ中なので、ここでは一部を紹介します。


別名クチボソ

モツゴです。
当館の「川の多様な生き物水槽」にも展示しています。
お馴染みの日本産淡水魚ですが、神奈川県で在来かどうかは微妙なところ。
その辺の事情は以前の日誌で書いていますのでどうぞ。
現地で専門家にも聞いたところ、たぶん放流された魚だろうとのこと。
いい魚なんですけどね。


メダカ…ではない!

カダヤシです。
漢字で「蚊絶やし」。すさまじいネーミングです。
北米原産の移入種で、日本に来たのは今から100年ちょっと前、大正時代です。カの幼虫「ボウフラ」を好んで食べる習性があるために1970年代から盛んに放流され、今では日本各地で見つかる魚となっています。
かわいいですが…この魚は「特定外来生物」です。
飼育したり、生きたまま移動させることが法律で禁止されているので要注意です。


赤みが強い個体

アメリカザリガニです。
名前から分かる通り、アメリカから来た移入種です。
この池では大小様々なサイズが多数見られ、明らかに繁殖しています。
当館では、昨年までタッチング水槽で触って頂いていましたが、現在は常設展示を含め、休止中です。


ミドリガメ!


お腹。すごい模様!

そしてこれ。ミドリガメことミシシッピアカミミガメです。
子亀を久々に見まして、改めてその美しさに興奮してしまいました。
鮮やかな緑色!お腹には奇抜な目玉模様です。派手にもほどがあります。
これも名前から分かるように移入種です。


大人と子供を一緒に撮影

大きな個体もとれました。
これもどうやら繁殖しているようです。
大きなミシシッピアカミミガメは、当館の「流れのアクアリウム」で展示していますので、ぜひご覧下さい。

…とまぁ、いろいろな生き物がいることが分かりましたが、違和感バリバリですね。
そう、とれた生き物のほとんどが移入種だったのです。
こうした状況はこの池に特有のものではなく、日本各地でままある現状だと言えます。
この池を見守る関係者の方々は現状を憂いていましたが、日本の在来種が再びすめるようにするには、ちょっと時間がかかりそうです。それが実感できる調査でした。
そして、未来のために、今この現実を記録として残すのが私たちにできる事です。

ここで大事な情報を一つ。
この6月から「アメリカザリガニ」と「アカミミガメ」の2種が、新たに「条件付特定外来生物」に指定されます。
ネットニュースなどで知っていた方もおられると思いますが、もう明後日からです。くれぐれもご注意下さい。
カダヤシなどの「特定外来生物」とちょっと違い、頭に「条件付」と記されています。
条件なしの「特定外来生物」が飼育、移動、販売、購入など、一般の皆さまが扱う時に直面する多くのことが禁止されているのに対し、「条件付」の「アメリカザリガニ」と「アカミミガメ」は、現在飼育しているものを飼い続けるのに許可が要らない(≒書類など国に提出せずに飼い続けてOK)などの違いがあります。
今回で劇的に変わることとして、これらはペットショップで一切売られなくなりますし、お祭りの「カメすくい」や「ザリガニ釣り」もなくなります(もう数年前から見かけなくなっていましたが…)。
その他、細かいことは環境省のホームページに書いてありますので、しっかり読んでから扱うのをおすすめします。

ザリガニとアカミミガメほど日本人に親しまれてきた移入種がいるでしょうか。
私も子供の頃からたわむれてきましたし、これらの種そのものが持つカッコよさ、見るものを興奮させる魅力は変わらないと分かっています。また、法規制がかわったとしても、現実にこれからも日本の自然にいて、環境に影響を与えることは続きます。それらを調べ、現状を展示や論文で皆さまにお知らせすることに努めたく思います。

伊藤


2024年10月
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