飼育日誌

2023.04.30

春の田んぼで「鳴く虫」

皆さまこんにちは。
4月から、人ゾーンの「田んぼの生き物水槽」を担当しています。
両親が稲作農家で、学生時代から田んぼの生き物を研究してきた身としては、知っていそうで知らない田んぼの一面、いい意味で違和感を覚える田んぼの姿をお見せしたいと思っています。


タンボコオロギ


クビキリギス(灰褐色タイプ)

つい先日、オニヤンマのヤゴに代わって、タンボコオロギとクビキリギスを展示しました。
この時期に「鳴く虫」?いきなり違和感バリバリですが、田んぼでは十分にありうる2ショットです。


展示水槽

この時期、関東の田んぼはまだ田植えをしていません。田植えの前段階として肥料を加えて土を耕し、柔らかくて適度なすき間のある「いい土」に再生する「田起こし」をします。
先日、当館のふれあい田んぼでも「田起こし」を行いました。同時にあぜの草刈りも行ったのですが、草のすき間からクビキリギスが出てきました。高さのある草むらや樹上にいるイメージだったので、あぜをはう下草のかげにいたのが興味深いと思いました。現在展示している4匹のうち、2匹はふれあい田んぼ産です。ちなみにもう2匹は、ホームセンターの植木コーナーでたまたま見つけました。


水槽壁面のクビキリギス(緑色タイプ)

水槽には下草メインでレイアウトしてみたのですが、クビキリギスたちは水槽の壁面や天井にたたずんでいることが多いです。反対に、地べたでくらすイメージの強かったタンボコオロギが、草の上や天井からぶら下げた餌の野菜につかまる立体的な動きを見せています。なかなか面白いです。
珍しいというほどではありませんが、生きて展示されることは少ない生き物だと思います。
あと半月くらい展示する予定ですので、ご来館の際は是非ご覧になって下さい。

伊藤


2024年11月
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