飼育日誌

2022.05.20

ガチンコ磯観察

皆さんこんにちは。
ツイッターでつぶやいたとおり、5月15日に江の島で磯観察イベントを開催しました。天気に恵まれて、ご参加頂けた皆さまには、事故なくお楽しみ頂け、ほっとしたところです。

実はその3日後に、別の磯観察がひっそりと行われたのでした。
私以外の参加者は、県内の大学や博物館に努めるプロの生物学者さんたち。
目的は、江の島の潮間帯の動物の種類と生息環境を調べること。
最終的には学術論文として報告を目指す、ガチの磯観察です。


参加の面々。画面外の私ともう一人で計6人

江の島では大潮の満潮時と干潮時で、約1.5mの海面の上下があります。
陸になったり水に沈んだりを繰りかえすこの範囲を潮間帯と呼びます。
この範囲を上から50cmずつ、潮間帯「上位」「中位」「下位」に分けまして、
それぞれの高さで見られる種類を、ばんばん見分けながら記録していきます。
クマノアシツキ、ケハダカイメンフジツボ、コモレビコガモガイ…聞きなれない生物名が飛び交います。

詳しい結果については、正式な報告を待って欲しいのですが、その成果をちょっとだけ。


ニシキヒザラガイ。
原始的な貝の仲間、ヒザラガイの一種です。
複数枚ある貝殻からはみ出る肉の部分が、鮮やかなピンク色で美しいです。
江の島では少し深いところにいるようで、潮間帯では珍しかったのですが、今日は水位がかなり下がったためか、「下位」でちらほら見つけることが出来ました。


ウメボシイソギンチャク。
水の外で縮こまってまさに「梅干し」です。
潮が満ちて水没すると、鮮やかな赤い触手を広げて、花のような姿になります。
イソギンチャクの中では割と知名度が高い種ですが、江の島ではかなり珍しいです。
今回は数地点で見られました。

江の島は数万年前まで相模川(現在の境川)の通り道にあり、その証拠として島の内陸に相模川と同じ石が見つかります。ということで、相模川を科学する当館としても、注目して、調べていきたいと思っているところです。

伊藤


2024年12月
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