飼育日誌

2022.01.27

いったい何者?

閉館後、館内が少し暗くなったときに「海の生き物水槽」を眺めていると・・・

展示している生き物とは別に、なにやら水槽内でうねうねと動く者が。

よーく見るとたくさんいます。ピンク色で細長い生き物が。

薄暗くなると岩の隙間から出てくるのですが、みなさんはこの生き物が何かわかりますか?

少し拡大してみると

見た目が少し苦手な方もいるかもしれませんが、話を続けます。
この生き物は、いわゆる「ゴカイ」の仲間です!
ゴカイはミミズと同じ「環形動物」というグループに属しています。
一般的に体が細長いものが多く、左右対称で同じつくりの「体節」が連なって構成されています。
海から川まで幅広く生息していて、その種類も非常に多く確認されています。
その一方で普段からあまりなじみのない生き物でもあると思うので、今回は当館の水槽で見かけたゴカイの仲間について簡単にご紹介します。
ちなみに、水槽の中には何種類かのゴカイの仲間がいるのですが、その中から特に体の大きな個体がいた種類に絞って話を進めていきます。
選んだのはこのゴカイの仲間

伸び縮みしていますが、おおよそ10cmくらいですかね。
そもそも、このゴカイどこからやってきたのかは正直わかりません。
他の生体やレイアウト品の搬入時に紛れてきたのではないかと予想はしています。

水槽の中に知らない生き物がいれば、それが何かを調べたい!
そう思い、ゴカイの図鑑を手に種同定をしてみました。
「ゴカイの種同定ってすごく久しぶりだなー」と思いながら、顕微鏡をのぞき、図鑑とにらめっこ。
ゴカイの仲間は分類がとても難しいため、案の定苦戦しました。
そこで以前、底生生物の分析のことを教えてくださった私の師匠にアドバイスをもらいながら見ていくと、
これかな!とたどり着いたのが「ハナオレウミケムシ」
ウミケムシの仲間で潮間帯など、浅い海で見られる種だそうです。
「ウミケムシ」 その名の通り、その姿が海にいる毛虫のように見える生き物です。

体の側面に剛毛という細かい毛があって、そこに毒があります。ウミケムシを素手で触ったりすると、剛毛が手に刺さることがあります。刺されると痛みや痒みが出るようです。

拡大してみると、先端がとがっていて分岐しているのがわかります。
抜けにくかったりするのでしょうか?気になります。
水槽の中にたくさんいるので、掃除をするときには触らないように気を付けています。
みなさんも見かける機会があればむやみに触らないようにしましょう。

ここまで、海の生き物水槽で見かけたウミケムシの仲間についてのお話でした。

また気になる生き物を見かけたらご紹介したいと思います。

西田


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