飼育日誌

2020.07.31

寝ても覚めてもゲンゴロウ part 1

こんにちは。
もう8月になろうかという時期になり、試合に例えるなら2020年もさあ後半戦
6月と7月は後半戦に向けてのハーフタイムといったところでしょうか。
しかし、私にとってはこの期間も休むことのない熱い勝負の時期となりました…

なぜならば、この時期は多くの虫たちの恋の季節! 
そして本年度から当館では、日本を代表する水生昆虫、ゲンゴロウの繁殖の挑戦を始めました!
つまりゲンゴロウ第一世代目を引き継げるか勝負の季節がまさに6月と7月だったのです!

こちらがそのゲンゴロウです。
ゲンゴロウとは、カブトムシをはじめとするコウチュウの仲間で、幼虫から蛹を経て成虫となる、完全変態をする虫です。
そして、一生のほとんどを水の中で暮らす、水生昆虫と呼ばれる昆虫の仲間でもあります。
昔は田んぼにお馴染みの虫でしたが、近年はめっきり数を減らしてしまい、神奈川県では絶滅してしまいました。

そんなゲンゴロウの繁殖チャレンジは、水温が上がる5月~7月が最盛期です。
といっても当館では完全屋内飼育のため、水温と日長は人為的なものとなります。
ゲンゴロウは植物の組織内に卵を産むので、産卵床としてホテイアオイを入れ、
産卵痕が見つかり次第新しいものと入れ替えていきます。
そして回収したホテイアオイは別ケースに入れて孵化するのを待ちます。

そうした作業を何回か繰り返し…生まれた幼虫がこちらです!


上の写真のホテイアオイにしがみついているのが生まれて間もないゲンゴロウの幼虫です。
下の写真は少し経った1齢幼虫です。白っぽい色から少し落ち着いた色になりましたね。
ゲンゴロウの成虫は見たことがあっても、幼虫は見たことがない方も多いのではないでしょうか。
全然成虫とは似てないですよね(笑)。この後、2回の脱皮を経て終齢幼虫となります。


上が2齢幼虫、下が終齢幼虫です。終齢ともなると、堂々とした雰囲気がありますね。
ゲンゴロウの幼虫は獰猛なハンターで、大きなアゴで魚やオタマジャクシなどを捕らえて食べます。
普段はゆったりとしていますが、獲物に襲い掛かるときはシュパッと動くんですよ!
ちなみに当館では、1齢から終齢までコオロギを与えて飼育しました。
ゲンゴロウの幼虫は水替えなどの手間はかかりますが、餌の好みもうるさくなく、飼育自体は比較的簡単な種だと思います。
そうこうしているうちに40日ほど経つと、幼虫は上陸して土の中で蛹となります。

当館で生まれた第一号のゲンゴロウたちは現在、うれしいことに全員蛹となって成虫になる準備をしています。
近いうちにきっと羽化のご報告ができると思っていますので、楽しみにお待ちいただければと思います!

山田


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