（前回の続き）

おもむろに、T君が買ったばかりの自分の竿を袋から出し、自慢げに同僚に見せたかと思うと、穂先を『J』の字に・・・。

「ペキシッ・・・。」

・・・。

放心状態のT君と、一瞬間を置いてからの・・・爆笑！

「高価な新品の竿・・、一度も使ってないのに・・、折ってしまったぁぁぁぁ・・。」

私は、誕生したばかりの『釣りのライバル』が、あっけなく昇天されてしまった事が残念でなりませんでした。

「なんとか復活させねば・・・！」

無い知恵を振りしぼり、私は退社後、釣りがしたいといっていた初心者のO君に道具をすすめるため（という口実で）、T君も釣具店に連れ出しました。

「T君さぁ～、あんな事があるからさぁ～、セカンドロッドは必要だよ～♪」

O君がいろいろなロッドを見ている横で、T君はその言葉を『カタクナまでに』無視していました。

その後、結局小物だけを買って店を出ると、T君が見当たりません・・・
店内に戻ってみると、閉店まで粘ってロッドコーナーを何十周もぐるぐると『ハスのように』回遊したT君が、レジに立っていました。

翌朝夜明け前、新品の『セカンドロッド』と共に、T君はハスのポイントに向かったそうです。

予備水槽には、２尾（当日１尾ずつ釣った個体）だったハスが、翌朝３尾に増えていました。

「まったく！負けず嫌いだな～♪」

・・・またまたつづく

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