飼育日誌
2016.12.27
季節はずれ
自然界の生き物たちは、大概が決まった時期にこどもをつくります。
これを “繁殖期” といいます。
今、当館には季節はずれのこどもたちがいます。
それはタガメのこども(=幼虫)たちです。
タガメは通常、6月から8月にかけて繁殖します。
本来ならば11月にもなると冬越しの時期に入り落ち葉の下や水の中でじっとしているのですが、館内が比較的暖かいため、季節はずれの産卵をしました。
タガメは昆虫の中ではめずらしく、オスが卵を守ります。
昼間は卵のある棒の下にいますが、夜になると卵に覆いかぶさるようにして守ったり、卵に水を与えたりします。
外より暖かいとはいえ、室温も下がってきたので孵化は厳しいかと思っていましたが、産卵から17日後にようやく孵化が始まりました。
30分くらいの間に、幼虫たちはいっせいに卵から出てきます。
孵化して間もない幼虫は透き通るような黄色の体をしていて、とてもきれいです。
そして、少し時間が経つと成虫にはない、縞模様が出てきます。
成虫の水槽は、幼虫たちには少し水深が深いため、別の水槽に分けようと幼虫をすくっていると、いつもはおとなしいオスが、鎌状のあしをブンブンふって怒っていました。
昆虫というと苦手な方も多く、普段あまり人気のない水生昆虫たちですが、偶然孵化の瞬間に立ち会った来館者の方々が、食い入るようにずっと観察していた姿がとても印象的でした。
亀ヶ谷