飼育日誌
掃除の流儀? by.Kame
水族館の展示水槽にはそれぞれテーマがあり、そのテーマに沿った生き物たちが展示されています。
でも、実は飼育係にとっては“展示”が主な目的ではない生き物たちもいます。
そのひとつが“お掃除係”として活躍してもらっている生き物たちです。
今、“海のちいさないきものたち”の水槽では、タツノオトシゴの仲間であるオオウミウマが展示されています。
実は、その中にちょっと変わった姿をした貝がいます。
そうその貝こそ、“お掃除係”として活躍してもらっている生き物。
三角錐の貝殻にぱっちりした目、ゾウの鼻のような長い口・・この貝は、名前をマガキガイといいます。
マガキガイは房総半島より南でよく見ることができる貝で、岩にくっついた藻類や砂の中のプランクトンなどを食べていると考えられています。
この水槽では、オオウミウマの食べ残しやコケなどを食べてもらうために入れています。
ある時、ふとこの水槽を見てみると、水槽の壁に沿って一定の幅で底砂がきれいにへこんでいました。
誰か他のスタッフがいじったのかなぁと思いつつ、しばらく見ていると、マガキガイがもぞもぞと壁に沿って動いています。
どうやら、壁に沿ってきれいにできたこの溝は、マガキガイが砂の中の有機物を食べながら何度も壁に沿って動いたことでできたようです。
よく見てみると、何匹か入るマガキガイのうちの1匹がひたすら壁に沿って動いています。
貝にとっては何かしら理由があってのことかもしれませんが、思わず「にやっ」としてしまいました。
生き物を飼育していると日々発見があり、その度に生き物や自然の面白さや奥深さを感じます。
水族館にお越しの際は、是非“主役”の生き物だけではなく、目立ちにくい“脇役”にも目を向けてみてください。きっと面白い発見がありますよ!
ちなみにオオウミウマの展示は11月15日(日)までですので、マガキガイに興味をもたれた方は、是非15日までにお越しください!
by.kame