飼育日誌
今が見頃!沖縄渓流の宝石
みなさんこんにちは。
朝と日中の気温差で服装選びが難しい新人飼育員狩俣です。
みなさん、「渓流展~川がはじまるところ~」はもうご覧になりましたか?
渓流という過酷な環境で暮らす生き物はそれぞれ違った逞しさがあり、観察していると関心させられることばかりです。
そんな渓流展では、沖縄の渓流に暮らすボウズハゼの仲間を展示しています。
ボウズハゼの仲間は吸盤状の口と腹鰭で岩に張り付き、石の表面に生えた藻類や水生昆虫などの底生動物を食べています。基本的に瀬のような流れの早いところを好む種類が多く、忙しなくぴょこぴょこ泳ぎ回るためカメラに収めるのも一苦労です。
そんな沖縄に暮らす小さなボウズハゼの仲間は、オスが色鮮やかな見た目をしているのが特徴です。
今回の渓流展ではコンテリボウズハゼ、アカボウズハゼ、ヨロイボウズハゼという3種を展示しており、それぞれ異なる色づき方をします。
…難しいですね。色だけで見分けるのは至難の業に思えます。
異なる色づき方をします……と紹介したものの、実際は最近までなかなか本領発揮には至りませんでした。どの個体も淡~くしか色が出ておらず、この水槽ではしょうがないのかと半ばあきらめていました。
しかし!
室温の変化の影響でしょうか、展示しているボウズハゼたちに色が出てきたではありませんか!
まず鮮やかさを見せてくれたのはコンテリボウズハゼ。
とてもきれいな青色です。学名の“atropurpureus”は「黒い紫色の」という意味で、漢字の「紺照」とともに、さらに深く美しい紺色を呈することが名前の由来となったと思われます。こちらは水槽に搬入後割とすぐにこのきれいな青色を見せてくれました。
対して最近になって顕著に色が出てきたのがアカボウズハゼ。
うーん、鮮やかなオレンジ色と黒い縞模様のコントラスト、惚れ惚れしてしまいます。
コンテリボウズハゼとは対照的に、燃えるようなオレンジ色が印象的です。
アカボウズハゼは複数いる雄のうち1個体のみが鮮やかに変化し、それに伴うように性格もだんだん荒っぽくなってきました。色の出ていないほかのオスを蹴散らし、お気に入りのポジションを死守しています。結構周りの様子をよく見ているようで、他の個体が少しでも場所を変えようとすると執拗に端の方へと追い立てます。
見た目の美しいボウズハゼたちですが、見た目だけでなく動きも見ていて飽きません。
是非みなさんも見た目だけでなく、個体ごとの駆け引きにも注目してみてくださいね!
沖縄渓流の宝石、今が見頃です。
P.S.
ヨロイボウズハゼは相変わらずマイペースです。
いつかきれいな婚姻色をみせてくれるのでしょうか、楽しみですね。