飼育日誌
実習生体験談⑭~羽広さんの場合~
皆さまこんにちは。
飼育員の伊藤です。
今回の実習生は、極寒の中で、すすんで冷たい水仕事をバリバリこなしてくれました。
冷え性の私としては感謝しきりでした。
その傍ら、当館屈指の「あったかキャラ」、カヤネズミについて語ってくれました。
それでは羽広さん、どうぞ。
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はじめまして。実習生の羽広です。先日から、大学の学芸員実習として相模川ふれあい科学館で活動させて頂いています。
今回は「水辺の生き物水槽」で展示されているカヤネズミについてご紹介します!
カヤネズミは、本州、四国、九州とその周辺の島の、主に休耕田や河川敷などの背丈の高い草原に暮らしている、日本で一番小さなネズミです。
体重は約7~8gで、頭からおしりまでは約6cmと大人の親指ほどの大きさです。
本種の特技として、長い尻尾の先端をものに巻きつけることができます!
例えば、草や葉に巻きつけることで、高い場所で体を支えたり、バランスをとったりすることができます。
自然での食べ物は、イネ科植物の種子や昆虫、果実などです。
当館では、アワ、ヒエ、キビなどの穀物類やドッグフード、さつまいも、きゅうり、人参といった野菜などさまざまなエサを与えています。
カヤネズミは夜行性で、夕方から明け方にかけて活動します。
通常の照明で照らされた水槽は“昼”の状態なので、カヤネズミたちはあまり活動しません。
そこで当館では、赤い光で照らされた“夜”の状態の水槽も展示しています。
夜に活動する動物は、わずかな光でもよく見えるかわりに、色を感じる能力があまりなく、赤い色はよく見えません。
カヤネズミたちにとって赤い光で照らされた水槽は、暗い夜の状態なのです。
赤い光の水槽を用意し、夜の様子を作り出すことで、昼間でも夜行性のカヤネズミが活発に動き回るところを見ることができます。
また、カヤネズミは、イネ科の植物を材料にして巣を作る珍しい習性があります。
地表から1mくらいの高さに、その場に生えているススキやオギなどの葉っぱを裂いて編み、直径10cmほどの球状の巣を作ります。
巣が完成するまでに、早いと5時間ほどしかかかりません。しっかりと編み込まれた巣は、子育てのために出産を控えたメスが作りますが、オスも休息用の巣を作ります。
カヤネズミの他にも「水辺の生き物水槽」では、ヘビやカメなど水辺や河原に暮らす生き物たちを見ることができます。
さらに、当館で毎日行っているイベント「ふれあいワゴン」では、ヘビやカメ、ネズミに触れ合っていただける機会があるかもしれません!
皆さんもぜひ相模川ふれあい科学館に遊びに来てください!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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羽広さん、どうもありがとうございました。
フィールドに出向いたとしても、野生のカヤネズミを観察できる機会はなかなかないと思います。
河川敷を歩き回ることを趣味と仕事にしていた私でも、2回だけしかありません。
当館に来て頂ければ、昼と夜のカヤネズミを間近でご覧頂けます。
館で働いている身としては日常になってしまうのですが、ふと考えてみると凄いことです。おすすめです。
その可愛らしさを目にすれば、羽広さんのように、あっという間にとりこになってしまうことでしょう。
伊藤