こんにちは。

先日当館に新たな水生昆虫をむかえました。
その名もタイコウチ！
「太鼓持ち」ではございません。

泳ぐときに前脚をバタバタとまるで太鼓を打つように動かすため、「太鼓うち」と名付けられたそうです。たしかに他の水生昆虫とくらべて泳ぎがあまり上手ではなく、頑張って泳いでいる感いっぱいです。とってもかわいいです。

自然界ではじっと獲物を待ち伏せし、近くを通った虫やオタマジャクシなどをシャッと襲って食べます。泳いでいる姿からは想像できない巧みな脚さばき、ちゃんと捕食者なのだと感心します。

ところが、飼育下でエサを与えると、これがどうにも気分屋のようで、エサを全然食べてくれないときがあります。
ピンセットで顔の前にちょこちょことエサを持っていくのですが、反応なし。しょうがないので前脚にちょんちょん当てて促しますが、嫌そうに前脚でおしのけてきます。こんなものいらん、とでも言いたげな雰囲気です。
そんなやり取りをつづけていると、段々とまるでタイコウチと会話しているような気分になってきて、しょうがないやつだな～、などと愛着がわいてきます。うーん、かわいいですね。

他にも、水の外に持ち上げると擬死行動（死んだふり）をすることも知られています。前脚を前に、それ以外の脚は後ろへぴーんと伸ばします。
すごく一生懸命さが感じられますが、正直なところ死んでいるようには見えません。そもそも虫ってあまり脚を伸ばして死なないですよね（笑）。きっと動かないことが重要なのでしょう。
そんなところもまた、かわいいんですよね。

とにかくかわいいところづくしなタイコウチですが、実は神奈川県では激減しております。
昔は非常に身近で、田んぼのおなじみ水生昆虫のひとつでしたが、今や見つけることのほうがはるかに大変な状況です。もし野外でタイコウチを見つけたら、そっとかわいい姿を観察してみてくださいね。

当館でも、繁殖を試みてみなさまに常にかわいい姿をご紹介できるように頑張ってまいります！お披露目までしばし、されど楽しみにお待ちください。

山田

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