飼育日誌

お知らせ 2024.04.14

植物だって空をとぶ?

皆さまこんにちは。
特別企画展「とぶ!生き物展」。
春休み期間には、とても大勢のお客様にお楽しみ頂きました。
まだまだ続きます。

今回の企画は、鳥好きの西田飼育員が“船頭”をつとめています。
約3か月前、一緒にアイデアをしぼっている時、ふと「とぶ」ってどういう状態を言うのかな?と疑問に思いました。突き詰めてみると「生き物がくらす中で」「時間の長さに関わらず」「空中を上手に利用すること」というのが、いちばんしっくりくるものでした。

それを糸口に、つばさで空を飛ぶ鳥や昆虫以外にも、様々な視点で「とぶ生き物」をチョイスして展示しようと考えていきました。
今回、どの展示が一番かと聞かれると悩むのですが、私としてはズバリ「とぶ植物」の展示を推します。

以前の日誌で、生き物の生きる目的、共通点として「移動して分布を広げること」があると書いた気がします。
この考えには今も確信を持っておりまして、動物や菌類だけでなく、植物にも当てはまります。
一見動けない植物も、折れた枝やタネ(種子)が水流に流された先で根付いたり、動物にくっ付いたり飲み込まれた状態で運ばれたりします。そして、空を飛んで分布を広げていく植物だっています。


世界の「とぶタネ」の展示

空を飛ぶ植物の中で、皆さまに一番なじみ深いのはタンポポでしょう。タネの一部が綿毛になっていて、風に乗ってふわりと「飛ばされて」いきます。ホウセンカやカタバミなどは熟したタネがはじけて遠くへ「跳んで」いきます。さらに、カエデやマツなどは、タネの一部がプロペラのように平たくなっており、落下する時に空気を受けとめて、遠くへ落ちたりグライダーのように滑空していきます。


飛んでいるタネの動画

今回の展示では、様々な「とぶタネ」実物と、それがとぶ様子を動画でご覧頂けます。
さらになんと!プロペラ型のタネを皆さまの手で、実際にとばしてみることができるようにしました。
これが秀逸!


とぶ植物ブース
写真の左側の2つがタネを飛ばす装置です。

装置の前にあるボタンを押すと、装置の中に風が吹き、タネがパタパタクルクルと不思議な動きで飛び回ります!
完成したものを最初に見たとき、あまりの面白い動きに感動しました。
まるで、植物のタネたちが、自分の意思で飛び回っているかのようです。
装置を作ったのはおなじみの工作上手、竹本飼育員です。数ある竹本作品の中でも、トップクラスにスゴイ物が出来たと思っています。

というわけで是非、皆さまご自身の手で、この面白さをご体験頂きたいと思っています。
特に平日が狙い目です。すいている時間も多いので、思う存分体験頂けるはずです。
(とは言え、手作りの装置なので、やさしくご体験頂けますと嬉しいです)

ご来館をお待ちしております。

伊藤


2024年11月
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