飼育日誌

2024.01.09

実習生体験談⑤ ~山村さんの場合~

皆さまこんにちは。
飼育員の伊藤です。
新年1回目の特別バージョン飼育日誌です。
今回の方は、なんと大晦日から元旦、三が日を通して、当館で学芸員実習をして頂きました!
それでは、山村さん、どうぞ!



初めまして、実習生の山村です。
先日から、相模川ふれあい科学館で実習をさせて頂いております。
今回は、特別企画展のテーマでもある「目」に関するお話を書きたいと思います。


今回の特別企画展「いきものたちの目」会場

突然ですが、皆さま「視野」ってご存じですか?
「視野」とは、まっすぐ前を向いた状態から目を動かさずに見えている範囲のことをいいます。
ちょっと難しいですね。では実際に試してみましょう。
自分の顔の正面に持ってきた手を、顔の横から後ろへと、少しずつ動かしてみてください。
どのあたりで見えなくなりましたか?私は「あともう少しで耳だ!」という所で見えなくなりました。
これが私の「視野」です。
一般的にヒトの「視野」は、両目で見えている範囲が80度~120度、片目だけで見えている範囲を含めると約200度と言われています。

では、ヒト以外の動物はどうでしょう。
まずは肉食動物です。
彼らは目が比較的顔の前方に向いてついています。生きていくために必要な獲物を、狩りで逃さないようにするために、両目ではっきりと見える範囲が広くなっていると言われています。


当館のバックヤードで飼育中のトビ(肉食動物)

一方で、獲物にされやすい草食動物や魚類などは、どこから敵が来てもすぐに気づいて逃げられるように、目が顔の横についています。そのため片目で見える範囲が広く、ほぼ360度見えている動物もいます。


特別企画展で展示中のウサギ(草食動物)

例外として、イルカやクジラなどの鯨類と呼ばれる仲間は肉食動物ですが、水流から目を守るために横向きについていると言われています。

「ウマの後ろに立つと蹴られるぞ」という言葉を聞いたことありませんか?
これはウマにとって唯一見えない部分が自分の真後ろであり、そこに立たれるとびっくりしたり不安になったりで蹴ってしまうのだと言われています。
また、動物園や牧場に行くと、ひたすらぼーっとしている動物を見ることがあると思います。
もしかしたら、彼らはどこかを見ているふりをしながら、ヒトよりも広い視野の目で私たちのことを観察しているのかもしれませんね。

いかがだったでしょうか。今回は動物たちの「視野」について紹介しました。私たち「ヒト」以外の生き物がどんな風に世界を見ているのか、少しでも興味を持って頂けると嬉しいです。
動物たちをヒトと同じ目線で観察できることはとても貴重なことです。さらに相模川ふれあい科学館は地域に密着した展示やイベントで「見る」「聞く」「体験する」を一度に満たすことができる博物館だと思います。私はこれらの点に大変魅力を感じながら、実習に取り組んでいます。ご来館いただく皆様がこの日誌を読んで「見る」「聞く」「体験する」に加え、相手(動物や魚類など)からどのように見られているか「考える」を試してみてほしいと思います。
ちょっと長いお話になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。



山村さんありがとうございました。
山村さんは大学でウマをはじめとする動物の「視野」についても勉強しており、たまたま今回の特別企画展の内容が、ご自身の興味とマッチしました。
当館のインターンシップでは、特別企画展に関する各業務(点検や給餌)にも関わって頂けます。次期によっては、まさかと思えるような動物に関われるかも知れません。
それでは、次回の特別バージョンをお楽しみに。

伊藤


2024年11月
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