飼育日誌

2022.09.11

貝の赤ちゃん②

皆さんこんにちは。
この度、長らくお楽しみ頂いているタッチング水槽の内容を新しくしていくことにしました。


リニューアル中のタッチング水槽

すぐに全部ではなく、じわじわと少しずつにタッチできる生き物を試していきます。
新しくする理由はおいおい、ということで、今回新たに加えたタッチング相手は、淡水の貝とエビです。今回は貝、それも二枚貝についてご紹介します。


“ドブガイ”(ヌマガイかな?)

今回展示した二枚貝はイシガイ科のうち“ドブガイ”として扱われる種類です。
実はちょっと前に入手して、バックヤードでキープしていました。
ズバリ、赤ちゃんを回収するためです。

詳しくはパート①の日誌を見てほしいのですが、当館では展示と並行して、貝の赤ちゃんのくらしぶりを調べています。
具体的にはまず、赤ちゃんにとって「相性の良い寄生相手」を調べるのです。

親貝は赤ちゃんを気まぐれに放出しますので、広い水槽に展示してしまうと回収がうまくいきません。なので、しばらくの間、小さなケースに親貝を1つずつキープして、赤ちゃんを吐いたらすかさず回収して魚の元へGO!という地道な作業をします。その甲斐あって、少しですが元気な赤ちゃんを得て、魚に寄生させることができました。

どの魚がどのくらい赤ちゃんと相性が良かったのかは、きちんと正式発表をしたいので今はナイショですが、少しだけ様子を紹介します。


魚のヒレに寄生した赤ちゃん

寄生した赤ちゃんは、自分のまわりを魚の組織でガードされて1~2週間ほどぬくぬくと過ごします。その間に赤ちゃんの体は、殻の形や大きさは変わらないのですが、中に新しい内臓や筋肉、足などができてきて、赤ちゃん第一形態こと「グロキディウム」から第二形態「稚貝」へと変わっていきます。


これが稚貝です。

稚貝は自分をガードしてくれていた魚から離れて、水底でくらし始めます。やがて幼生の殻の内側から、大人の殻のもとである胎殻がぐんぐんとのびてきます。この後、1~2年で数センチに成長して繁殖に参加できるようになるのですが、ここまで育てるのがすごく難しいのです。魚から離れて数か月間の稚貝のくらしぶりは謎が多く残されています。川や水路で採集していてもほとんど採れないのです。なぜなのか…。

ところで、赤ちゃんの寄生をゆるした魚側の事情はどうなのでしょうね。そのあたりは「次回につづく」ということで。タッチング水槽をお楽しみ頂きながらお待ち下さい。

伊藤


2024年11月
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